投稿

10月, 2020の投稿を表示しています

難波一族記【1】~経遠編~ 第五章 保元の乱、平治の乱②

5.保元の乱、平治の乱② 「皆、揃ったな」 若いが低く重い声が場を支配した。 経遠、兼康をはじめ、その場に居並ぶ侍大将たちは一斉に膝をつく。 中央に座すは 平清盛 その眼差しは静かでありながら、底知れぬ圧を放っていた。 「此度の都の騒動、もはや避けられぬ。 上皇方(崇徳上皇)と帝方(後白河天皇)、両陣に分かれ、刃を交えることとなる」 ざわめきが走る。 「これは――内乱にございますか…」 思わず経遠が呟いた。 清盛はゆっくりと頷く。 「然り。我らは帝方に加勢する。しかし、右馬助叔父(平忠正)や源為義は上皇方につくだろう。しかし、為義の子息・義朝は我らと同じく帝方につくという。この内戦は世代交代の側面もあるかもしれぬのう」 清盛は眼を閉じて呟く。 夜の京。 重く沈む空気の中、兵が静かに動き始める。 経遠は甲冑を整えながら、静かに息を吐いた。 「いよいよだな、三郎」 「兄者、相手は誰だ?」 「左大臣、そして右馬助殿…。だがわし等は源 為義の軍勢を狙うぞ」 経房の目が細くなる。 「……面白ぇ。腕が鳴るわ」 「油断するな。 都の戦は海とは違う。逃げ場はない」 経遠の声はいつになく鋭かった。 ※この物語はフィクションです。